「みててね」

「提示を見せようとしても、なかなか見てくれません」
 

これはよくいただく相談です。

モンテッソーリ教育では、提示を通して子どもに「どうやって使うか(道具など)」「どうやってやるか」のお手本を見せます。その時にルールや約束事、失敗してしまったときにどうすればいいかなどを子どもに伝えます。

大人の提示が充実することは、とても大切なことです。
子どもが提示を見る力や待つ力を身につけるのも、大切なことです。
 
特に複雑なものや、いくつもの工程を経て成り立つものは「どうやってやるか」を知らないまま闇雲にやってもうまくいかず、「できない」「つまらない」で終わってしまうことがあるからです。
 
 
でも、そのことと「必ず提示しなければいけない」「提示を見なければいけない」ということとは、違います。
 
 
提示を見てくれない理由は「やり方がわかっているのに、見なくてはいけない(=つまらない)」「やりたいと思っていないのに、見なくてはいけない(興味がない)」「見ることを強制される」「間違えたことをすると(ちゃんと見ていないから…)と責められる」などの可能性もあります。


いずれにしても、提示を見ることを「楽しい」と思えていないのには、何かしら理由があるはずなのです。


子どもに何かを与える時、まず最初にやることは「提示」ではありません。
子どもを「観察」することです。

子どもが何をしようとしているのか。
何をやりたがっているのか。
どこまで、自分でできるのか。
どこが、自分だけでは難しいのか。

よく観察して、子どもがわからないところ・困っているところを提示してあげると、子どもは見てくれます。


例えその時見てくれなかったとしても、無理強いしたりイライラしたりしなければ、またそのチャンスはやってくるはず。


私たちの目的は「子どもに提示を見せること」ではなく、「子どもの援助」である。そのことを忘れずにいたいですね。